遊びをせんとや、生まれける。

「あそび」

 

梁塵秘抄1174年 

 

遊びをせんとや生れけむ

戯れせんとや生れけん

遊ぶ子供の声聞けば

わが身さへこそゆるがるれ

 

 

「あそび・遊び」の定義

 

 「あ=吾・主体」+「そ(乙類)=反れた形態(す+お=swo母音調和語」+「ひ=平らな形態(甲類)日・陽」。濁音「び=弾力的に自由にくねり曲がるもの。故に、遊びは、主体が本来存在すべきところから外れたところで、自由にくねり曲がって動き回る行為のことである。

故に遊びは、目的行為をまじめに遂行せずに、外れた所作をあえて行って空転させ、手前勝手な気持ちで無駄を楽しむ行為である。言い換えれば、「精神のこわばりを開放すること」が遊びである。くつろぎの体操が硬直化を防ぐ。緊張から解放され、自由になった時の解放感が、遊びの重要な本質で、時間と金の「無駄を生み出す。遊びは失うものも多くあるが、遊びにはユーモアの笑いがあり精神と肉体のこわばりを開放しリラックスに浸ることが出来るのだ。遊びには「むなしさ」と「身体をくねらせるよろこび」という対極の世界が不均衡に入り組み合っている。

大人の究極の遊びが、「よろこび」につながる必要が求められる。

 

定義「よろこび」=「よ(乙類=寄り添う形態(ゆ+お=ywo母音調和語」+「ろ(乙類)=囲まれて中が詰まった形態(る+お=rwo)肉の塊」+「こ(乙類)=込める形態(く+お=kwo母音調和語」+「び=弾力的に自由にくねり曲がるもの・弾力体の形態」。故に「男性が女性に寄り添い、何かを込める動きをして、体をくねり曲げる。なんと喜びは具体的な営みを表す言葉だったのである。

 

 

「び」の考察

オノマトペアに類する語彙。

びらびら・びりびり・いびる・ぼろびろ・びくびく・びんた・びたびた・びちびち

 

人体の部位を観れば解る。「首・クビ」「指・ユビ」「唇・クチビル」

くび=「く=口の作動形態」+「び=弾力的に自由にくねり曲がるもの・弾力体の形態」

ゆび=「ゆ=弓の形態・揺む・弓ム(い+う)母音調和語」+「び=弾力的に自由にくねり曲がるもの・弾力体の形態」

くちびる=「くち」=「く=口の作動形態」+「ち=(Ⅱ類・体液系)血・乳・唾(ちゅば → つば)ちゅうチュウと飲む」

 

「蛇・へび」「帯・おび」「蝦・えび」「鮑・あはび」。これらはすべてくねり曲がる。

「ヘビ・蛇」=「ヘ・(乙類)・経る・順次・つぎつぎ」+「ビ」である。蛇の行動が、次々と一点を経過していくさまが「ヘ・経」である。

「ナビく」は「ナ・なよやかに」+「ビ・自在に曲がり動くもの」=「蛇」の意。

カムナビ・カンナビ・神奈備」=「カム・カン・カミ・神」+「ナビ・蛇」であり「イナツルビ(稲妻)の・ビ」である。

「ミワ・三輪」は「ミ・巳・蛇」+「ワ・輪」で即ち蛇がとぐろを巻いた姿である。蛇はうとましいものであるが、蛇に霊格を持たせたのは縄文の祭土器にも見られるごとくきわめて古い時代から人々が蛇に関わり合っていたことを示している。

アケビ」は「開け+ビ」で山地に生える蔓性植物で四月頃に淡い紅紫の花をつけ、秋に俵の形をした紫の実をつける。実は熟すと一ヶ所だけが縦に割れて、中に棒状ぬめりのある甘い果肉がつく。この植物を別名「やまひめ・山姫」と呼ぶ。つまり女性の秘めたるものと形状が近似しているのでこの名前が付けられたのである。隠語で「つび」を「ひめ」とも呼ぶ。ちなみに「ツビ」の「ツ」は「体液」のことである。